家づくりにおいて最も気になる自然災害と言えば、やはり地震ではないでしょうか。
地震の多い日本だからこそ、耐震性は大切にしたい点ですよね。
「木造住宅って耐震性はどうなの?」
「鉄骨や鉄筋コンクリートと比べて強度が低いのでは?」
そんな疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
建築基準法における現行の耐震基準では、構造種別・工法に関係なく、震度6強~7に達する程度の大規模地震でも倒壊・崩壊するおそれのない建築物とすることを定めています。
地震に強いといってもその考え方やアプローチには色々とあるのですが、今回は「木の家」ということに着目してお話ししたいと思います。
1300年以上建ち続ける木造建築
結論から言うと、「木造だから弱い」ということはありません。
日本の住宅では、主に木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造の3つが用いられていますが、それぞれ構造自体による違いはさほどありません。
地震の多い日本に現存する歴史的建造物は、すべて無垢材を用いて建てられた木造建築です。
世界最古の木造建築である法隆寺「五重塔」は1300年以上も建ち続けており、寺院や神社など、歴史ある木造の建築物が地震によって崩壊した、という話はあまり聞いたことがないのではないでしょうか。
地震に弱いと思われがちですが、しっかりとした地盤に正しく基礎を組み込んだ木造住宅は、実はとても地震に強く倒れにくいのです。
木は見かけよりもずっと強い
材料の強さを比較する値として、強度を密度で割った「比強度」というのがあります。
この比強度が大きいほど、軽い割に強い材料であるということになるのですが、引っ張り・曲げ・圧縮の強さを測るテストにおいて、木材の比強度は鉄やコンクリートと比べて圧倒的に高いということが証明されています。
地震のエネルギーは建物の重さに比例するため、家の重量が軽いほど地震の影響を受けづらいということになり、地震が多い日本では、軽くて強い木材は家づくりに適した素材だということがわかります。
適材適所で地震に強い家
家づくりに使われる木材には大きく分けて2種類、一本の木から伐り出したそのままの「無垢材」と、小角材や板材などを接着剤でつなぎ合わせてつくった「集成材」があります。
では無垢材と集成材、どちらを使うべきなのでしょうか。
強度という点では、一般的には集成材の方が強いとされています。
その理由は簡単で、集成材は工業製品のため規格があり、強度や耐久性など基準に合わせてつくられているからです。
無垢材にも、千年以上建ち続ける木造建築物が存在するように、集成材とは比較にならないほど強いものは豊富にあります。
しかし、同じ樹種でも一本一本に個性があり、地域や部位によっても強度に違いがあるため、工業製品のように強度を数値化することができません。
強度のある無垢材かどうか、それを見極める目が必要になるのです。
無垢材についてはこちらの記事でもご紹介しています。
それぞれにメリットデメリットがあり、どこにどう使うかによっても選び方は変わります。
例えば住宅の構造材には、昔からヒノキ、スギ、マツなどが一般的によく使われており、柱には湿気やシロアリに強いヒノキ、スギが使われることが多く、梁にはしなって折れにくいマツが良いとされています。
また、地震の揺れによって家が横方向に変形するのを防ぐため、壁を強くする際には、大断面の材が必要となり、こういった場合には無垢材では実現できない幅、長さにも加工できる集成材や合板を使います。
本当に強い家づくりには、素材の特徴を知り、適材適所に使い分けることが大切なのです。
設計上の工夫とは
例えば、以下のような工夫があります。伝統工法などで関節部を工夫する: 木構造建築では、関節部分の強度が重要になります。関節部を工夫することで、構造全体の強度を上げることができます。
また、リフォーム等で耐震壁を残すなどは基本的な対応になりますので、設計上の知識が問われることも多いです。
設計上、補強材やコネクターの強化で「固める」方法や、逆に固定しすぎない方法などがありますが、この辺りは設計によります。
定期的なメンテナンスで耐震性能を維持
最近の木造住宅は昔と比べても高い耐震性を持っていますが、住宅の耐震性や耐久性は、構造材の種類だけに左右されるものではなく、その工法や精度はもちろん、定期的なメンテナンスの有無も関係します。
家の劣化は建てたその日から始まります。
いくら耐震性能が高くても、メンテナンスをしていなければ、経年劣化によって数十年後には地震で倒壊する可能性は十分にあるのです。
まとめ
今回は木造住宅の耐震性に問題がないことをご紹介しました。
耐震性について疑問や不安をお持ちだった方にとって、安心して家づくりができるきっかけになっていれば幸いです。
濱内工務店では、お客さまに安心して永くお住まいいただけるよう、アフターメンテナンスも行っていますので、どんなことでもお気軽にご相談ください。
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